イラク人質事件

Yahoo!ニュース写真より。帰国する3人

イラクで人質となり解放された3人が帰国したらしい。まだテレビでのニューズを見ていないからよく分からないが、3人とも日本での彼らに対する非難が大きく蔑視さえされているという事をもちろん知っているからであろうが、日本に着いてから終始硬くて険しい表情だったらしい(ヤフーニュースより)。3人にしてみればこの日本人の事件に対する対応は全くの予想外であったと察するに余りあるが、なぜこうなったのか理解できないであろう。
正直言って、俺も今回のこの非難はよくわからない、というか、改めて日本人に失望(ということは自分にも失望)した出来事である。あまり詳細は知らないが、今回の事件を整理すると
①3人がイラクの何とかという町でイラク武装グループに捕まった
②捕虜になった3人の映像(バックに武装兵士の迫力ある映像込み)をアルジャジーラに何者かが(どう考えても武装兵士のグループだが)送りアルジャジーラはそれを”自衛隊を撤退させねば3日以内に彼らを殺す”という彼らの要求も一緒に添えて放映した。(このメッセージは誰が受けたのか確か分かっていない)
③以前に米国の民間人が無残に焼き殺されたのを知っている日本人は戦慄、特に当然だが家族は日本政府に助けを求めた。
自衛隊派遣以来の日本に関係するイラク関連ニュース、しかもCNNなどが全世界に放映したニュースに日本の報道機関も当然飛びつき、家族や今回の事件に便乗する反政府主義者や共産主義者イスラーム協会、そして野党などの声を報道規制協定などを結ぶべき性格の事件にも関わらず、どんどん垂れ流した。
⑤3日経ちみな息を飲んで見ていたが、結局殺されず。解放されることが決まった途端に、なぜか”あんな危険な所に行ったのが悪い、自業自得”やそれぞれの過去を暴き(本当かどうかわからんが、麻薬をやってた、共産党一家で育ったなど)、”日本でやることがないから売名行為でイラクに行った浅はかな奴ら”という声が急に高まる。家族に対しても”要求しすぎ””小泉に会うなど調子に乗りすぎ”という声も出ていた。
⑥その声が全国を蓋い、週刊誌などにバッシングされる中の帰国

ということではないか。3日前にタクシーに乗ったが、運転中のおっさんもしきりに”あいつらが悪い!バカですよ!”といってたし電車に乗っても”売名行為だ!””イラクになんか行くからだよな、若い奴らは平和ボケしてるよ”などの声が実に多い。
これらを見て情けなくなるのは自分ひとりでは決してないはずだ。確かにイラクに行けば危険なのはバカでも分かるが、そこに行ったからと言ってバカとは全くいえない。そういってしまえば、自衛隊も全員バカになってしまう。いや、それを決めた日本人、日本政府がバカになってしまう。自衛隊は命令に基づき行ったのでしょうがないかもしれないが、もし全員が本当に嫌がってて国際貢献などあほらしいと思っているとしたら、みなどういうであろうか?”情けない”、”腰抜け自衛隊”などと世論はバッシングするだろう。今回の3人はイラクに誰にも命令されず、そしておそらく純粋にボランティアで行ったのである。もし捕虜にならなければ誰にも知られないのだから売名行為のはずはない。生い立ちなど、誰にも傷はあるもので、今回の事件とは全く関係ないから誰にも非難する権利はない。家族であれば心配して当然であるから、大げさとも思わないし、小泉総理に会うのも、国の力を借りなければいけないレベルの話だから、直接頼みにいくのは筋が通っているので問題ない。日本のパスポートを持っていてそれでイラクに入国している以上、政府はその国民を世界のどこであれ救助・保護する必要がある。(日本赤軍などとは全然違う)
今回アメリカやイギリスなど各国の民間人が捕虜になっているが、こんな反応を国レベルでするのは日本だけであり、本当に羞恥心もやさしさも、プライドも何もない国民だと思うくらいに情けない。
昔商社の人が、東南アジアや南米など政情不安の地域にいたときに何かあればすぐに米英などのビジネスマンは政府が軍隊を派遣してでも必ず助けるが日本人は政府には全く期待できず自分たちで身を守るしかない、と言っていた。また太平洋戦争中もガダルカナルなどで日本兵が玉碎した時も彼らは完全に国から見捨てられた。中国残留孤児やシベリヤ抑留者なども然り。江戸時代も漂流した漁師が、親切なアメリカ人やイギリス人に助けられ6年ぶりに命がけの帰国を果たしかけたのに入国を拒否されたらしい(三浦綾子の本)。日本の文化にはウチとソトという極端な2元の世界があると柳田邦夫は言ったが、まさに今回はソトに出た日本人に平気で残虐になれる日本人の陰湿な性格が顕在化された出来事であろう。イラクから帰ってきた3人の諸君、もう行かないほうがいいとは思うけど、今後ともがんばって下さい、と一応言っておこう。
疲れた・・・・。